
専門医も維持しつつ、子育ても大事にできる働き方って何だろう?
女医ママの働き方研究室では
専門医資格取得や維持をする
子育てにも時間をかける
そんな働き方を考察するシリーズです。
今回は腎臓内科編。
腎臓内科は女性医師が多い診療科ですが、育児しながらでも専門医資格が更新しやすい診療科。
子育てと仕事を両立しやすい働き方を一緒に考えてみましょう。
腎臓内科のキャリア構造
腎臓内科を志すドクターのキャリアは、一段ずつ積み上げていくピラミッド構造になっています。
まず基盤となるのが「内科専門医」、その上に「腎臓専門医」、さらにその先に「透析専門医」という三層構造です。
一度キャリアの全体像を把握しておくことで、産休・育休をどこに挟むか、非常勤に切り替えるタイミングをいつにするかを逆算しやすくなります。
内科専門医を取得する基準
腎臓専門医を目指す大前提として、まず「内科専門医」の取得が必要です。
新専門医制度のもとでは、初期研修終了後に内科の専門研修プログラムに登録し、3年間の研修期間中に内科全領域にわたる症例経験を積み、病歴要約の提出と専門医試験への合格が求められます。
この内科専門医研修期間は、サブスペシャルティである腎臓の専門研修と並行して進められる「連動研修」が一部認められているため、その後の腎臓専門医取得までの期間を実質的に短縮できる可能性があります。
子育てを見据えるなら、この初期の3年間をどの病院・施設で過ごすかが、後のキャリア全体に大きく影響してきます。
腎臓専門医の取得と更新
腎臓専門医の取得基準
内科専門医を取得した後は、いよいよ腎臓専門医へのステップです。
申請にあたっての主な条件をまとめると、以下の通りです。
| 条件 | 内容 |
| ①学会所属 | 日本腎臓学会の会員歴が継続して5年以上あること |
| ②内科専門医 | 日本内科学会認定内科医取得後3年以上(または小児科・外科・泌尿器科専門医取得後1年以上)の資格を有すること |
| ③研修期間 | 学会指定の研修施設で定められたカリキュラムに基づく研修を3年以上行っていること。加えて経験症例の記録・病歴要約の提出が必要 |
| ④試験 | 腎臓内科専門医試験に合格すること |
試験自体は筆記試験に加え、症例記録・病歴要約の内容を含めた総合的な審査によって合否が判定されます。
出産・育児のタイミングと重なると準備時間の確保が難しくなるため、早めにスケジュールを把握しておくことをおすすめします。
腎臓専門医試験合格率は?
腎臓専門医試験は、他の専門医試験と比べてかなり高い合格率で推移しているのが特徴です。
官報の情報によると、平成30年・令和元年・令和2年の3年間はそれぞれ85.1%、96.0%、91.7%と、年度によるばらつきはあるものの高水準でした。
腎臓専門医資格の更新基準
腎臓専門医は取得して終わりではなく、5年ごとに更新が必要な資格です。
更新要件は以下の通り。
| 項目 | 内容 |
| ①必要単位数 | 5年間で50単位 |
| ②学会企画単位 | うち25単位以上は日本腎臓学会企画への参加で取得する |
| ③学術集会出席 | 本腎臓学会主催の学術集会(学術総会・東部/西部学術大会)に最低1回出席すること |
| ④主な単位取得方法 | ・学術総会参加:参加10単位+教育講演加算5単位=最大15単位 ・東部/西部学術大会参加:参加6単位+教育講演加算4単位=最大10単位 ・学会誌への論文掲載(英文誌筆頭著者:10単位など) ・セルフトレーニング問題の解答提出:5単位 ・関連学会(日本透析医学会・日本内科学会など)の年次学術集会参加(4〜5単位)や腎臓学関連の論文・総説掲載なども認められる |
学術集会への参加が単位の中心になっている点は、産休・育休中や非常勤勤務の女医ママにとって、計画的にスケジュールを確保すべきポイントといえます。
オンライン参加が可能な学術集会を活用しながら、無理のない範囲で単位を積み上げていく工夫が必要になります。
専門医資格の更新条件に勤務日数の縛りがない
透析専門医の取得と更新
腎臓専門医のその次に取得を目指す専門資格として位置づけられるのが「透析専門医」です。



腎臓専門医は取得したけれど、透析専門医は取得する必要あるかな?
と悩む女医ママは多いのではないでしょうか?
透析専門医を取得すると、管理医師や透析クリニックの勤務の際に重視されます。
透析専門医の申請基準
透析専門医の認定申請には、以下の条件を満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
| ①医師免許 | 日本国の医師免許証を有すること |
| ②専門医資格+臨床経験 | 以下いずれかの資格を有し、臨床経験5年以上あること(初期研修1年目は含まない):日本内科学会・日本外科学会の認定医または専門医/日本泌尿器科学会・日本小児科学会・日本救急医学会の専門医/日本麻酔科学会指導医 |
| ③研修期間 | 日本透析医学会認定施設で1年以上、または教育関連施設で3年以上を含む通算3年以上の透析療法に関する臨床研修を行い、かつ業績があること。※週4日以上=1年、週3日=3/4年、週2日=1/2年に相当(週1日は不可) |
| ④業績基準 | 所定の30単位を取得していること。日本透析医学会年次学術集会への参加1回以上を含み、筆頭者としての学会発表1件以上かつ論文1編以上(共著可)を含むこと |
| ⑤試験・審査 | 専門医認定の試験および審査において適格と判定され、専門医として登録を完了していること |
| ⑥学会所属 | 申請時において、日本透析医学会の会員歴が3年以上あること |
勤務日数に応じて研修期間としてカウントされる仕組みになっているため、フルタイムでなくても時間をかければ要件を満たすことが可能です。
透析専門医の更新条件
透析専門医についても更新制となっており、5年ごとに以下の要件を満たす必要があります。
| 項目 | 内容 |
| ①必要単位数 | 5年間で50単位、かつ学会発表・論文の実績も必要 |
| ②セルフトレーニング | 認定期間5年間のうち1回以上正答すること(正答率の基準は年度による)。満たすと5単位が認定 |
| ③e-ラーニング | 年間認定単位の上限は5単位 |
| ④卒後教育プログラム | 認定期間5年間の取得単位上限は25単位 |
| ⑤学会発表・論文 | 原著として認められるのは透析患者の血液浄化関連に関する研究論文・症例報告に限られる |
透析という専門性の高い分野は、現場を離れる期間が長くなると技術や知識のブラッシュアップが必要になりやすいため、更新のタイミングと自身のキャリアプランを照らし合わせておくことが大切です。
女医ママは透析専門医を取得する必要はある?
腎臓専門医のみでも活躍できる。
腎臓内科医としてキャリアを積む中で、腎臓専門医の次に透析専門医の取得を目指す医師は少なくありません。
しかし、女医ママ全員が透析専門医を取得する必要があるかと言われると、必ずしもそうではありません。
腎臓専門医を取得していれば、腎臓内科外来やCKD診療を中心に活躍できる職場は多くあります。
また、子育て中は学会参加や資格更新の負担も無視できません。
一方で、将来的に透析クリニックでの勤務や管理医師を視野に入れている場合は、透析専門医がキャリアの強みになることもあります。
大切なのは、「周囲が取得しているから」ではなく、自分が将来どのような働き方をしたいかという視点です。
子育て中は目の前の生活を優先し、必要になったタイミングで取得を検討するという考え方も十分にアリだと思います。
腎臓内科、子育てを優先する働き方は?
腎臓専門医を取得する前
腎臓専門医を取得する前の段階は、いわば「土台づくり」の時期です。
この時期は、専従条件を満たすために常勤で集中的に勤務する期間と割り切ることが現実的です。
専門医取得の前は、楽な道はないと心得よ
腎臓専門医を取得した後
週2〜4日
週2〜4日
腎臓内科は子育てしながらでも、専門医資格も更新しやすい診療科です。
腎臓内科専門医は、更新基準に勤務日数の縛りがありません。
非常勤勤務でも、スポット勤務でも、単位取得を行えば更新が可能です。
子育てと仕事の両立に非常に向いている診療科だと思います。
透析専門医を取得した後
透析専門医を取得した後は、キャリアの選択肢がさらに広がります。
透析専門医を取得後は透析施設への転職や、管理医師としての働き方も現実的になってきます。




一方で、透析専門医は必須資格ではありません。
腎臓専門医のみでも十分に活躍できる職場は多くあります。
そのため、子育て中は無理に取得を急ぐ必要はなく、自分のライフプランや将来の働き方に合わせて取得を検討すれば良いでしょう。
私自身は、腎臓専門医の取得を優先し、その後に透析医療を長く続けたいと思った時点で透析専門医取得を考えるのも一つの選択肢だと思います。
腎臓内科専門医を取得するメリットは?
最後に、腎臓内科専門医を取得することの意義を、子育てとの両立という観点から整理します。


1.患者さんは医師の経歴をしっかり見ている。
特に慢性腎臓病や透析治療のように長期的な関わりが必要な領域では、専門医資格の有無が患者さんにとって安心感の指標になることがあります。資格を維持していることは、診療の質を保証する一つの証として機能します。
2.専門医資格を条件とする求人に応募できる。
腎臓専門医や透析専門医を必須・優遇条件とする求人は一定数存在し、こうした資格を持っていることで、勤務条件や待遇面で選択肢が広がる場合があります。
日勤中心の透析クリニックなど、子育てと両立しやすい職場を探す際にも、資格が交渉材料になることがあります。
③ 将来の独立・開業にも強みになる
もし将来的に自分のクリニックを持つことを考えているなら、専門医資格は大きな武器になります。
患者集客の面でも、スタッフ採用の面でも、「専門医の院長がいるクリニック」は信頼の基盤になります。
まとめ


専門医制度の詳細や最新の申請要綱は年度によって変更される場合があります。
実際の取得・更新を検討する際には、日本腎臓学会・日本透析医学会の公式情報を必ず確認するようにしてください。











