目次
はじめに
近年、女性医師の活躍が注目される中、子育て中の女性医師が専門医資格の更新について問題になっています。
専門医資格維持が女医さんにとって大きなハードルになる診療科もありますよね!
子育てに必要な時間やエネルギーを投入することが多い子育て中の女性医師にとって、専門医資格の更新は容易なことではありません。
本記事では、子育て中の女性医師が専門医資格の更新について
どのような問題を抱えているか?
どのような働き方をすれば専門医資格更新が可能なのか?
について探っていきます。
専門医資格更新に必要な条件
新専門医制度の更新条件
引用元:新たな専門医制度について 認定と更新 (一般社団法人 日本専門医機構
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000094287.pdf
医師の専門性の高さや技術などを評価する基準として、各学会が独自の専門医制度を構築していました。
しかし、資格取得の難易度は学会によって大きく異なり、試験を課さずにレポートのみを提出すれば合格の資格もあれば、レポートに加えて試験・口頭試問を課す資格もあり難易度がバラバラ。
医師の質を保つことや専門医資格取得の難易度を統一することを目的に2018年から新専門医制度が始まりました。
新専門医制度に移行後の専門医資格更新基準は以上のようになっています。
診療科により勤務日数が更新条件に含まれる
眼科臨床経験の算定基準は、2022年10月から週3日以上(教育・診療管理等を含む)の勤務へ変更となります。
日本眼科学会Hpより (https://www.nichigan.or.jp/senmon/renewal/koshin_new.html)
眼科の場合は上記の通り週3日以上の勤務が必要になります。
糖尿病内科は週○日以上勤務が必要などの条件はありません。
この基準は学会により異なるため、所持されている専門医資格更新基準を確認されるのが良いと思います。
専門医共通講習の受講が必要
専門医共通講習は最小5単位分参加しないと更新ができません。
e-larningや学会開催時に合わせて共通講習を実施されています。
講習によりオンライン受講可能な講義があるため、開催要項を学会ホームページ随時チェックしましょう。
学会参加で単位が取得できる講演が制限された
旧専門医制度では論文や学会発表、学会参加などでのポイントが全てカウントされていましたが、新専門医制度になり単位が付与される講演と付与されない講演に分かれるようになり複雑化しました。
学会に参加する場合は取得単位の制限や、単位が付与される講義かどうか確認の上参加しましょう。
子育て中の女性医師が専門医資格更新する上での問題点
更新単位の取得が大変
学会参加の単位取得だけでは更新できない
旧専門医制度では、学会ごとに更新基準を設け、症例レポートの提出や学会参加によって専門医資格を更新する診療科が多数存在しました。
しかし、新専門医制度に移行し、専門医共通の講習を受講することが必須となり、学会参加においても単位の付与される講習とされない講習に分かれたことで、複雑化した印象があります。
日々の仕事や子育ての合間を縫って勉強会や学会に参加し、単位を取得することは、元々大変なことでしたが、新専門医制度移行後はさらに困難になりました。
しかしながら、オンライン講習やオンラインでの学会開催形式が進化し、女性の医師であるママさんが講習会や学会に参加しやすくなり、便利になっているという点もあります。
勤務日数が更新条件に含まれる診療科がある
眼科、皮膚科、麻酔科は勤務日数が更新条件に含まれる
更新基準に含まれている、「2. 診療実績の証明」に勤務日数を基準として設けている診療科があります。
女医ママさんが更新基準を満たすのに大変苦労します。
女性医師が多い診療科の中でも糖尿病内科・耳鼻科・精神科・産婦人科・小児科は専門医資格更新基準の中に勤務日数の条件は含まれていません。
これらに診療科は症例レポートの提出で臨床実績の証明の基準を満たすことができます。
一方で、眼科、皮膚科、麻酔科は専門医資格更新に勤務日数の証明を要します。
- 眼科:週3日以上の勤務
- 皮膚科:非常勤の場合は週12時間以上、勤務先は2施設以内
- 麻酔科:週3日以上の勤務
ここが女医ママさんにとって困るポイントになる場合があります。
フリーランス医として働くと、専門医資格更新ができなくなる可能性があり要注意です。
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子育て中の女性医師が専門医資格更新を前提としたキャリアプラン3選
常勤医
社会保障が充実、専門医資格維持も問題なし
大学病院、市中病院、クリニック含めた常勤医としての勤務です。
勤務日数における常勤採用条件は職場によって異なり週4以上としている病院がほとんどですが、中には週3日以上で常勤採用している病院もあります。
社会保障・年金は手厚い
専門医更新も問題なし
時間的拘束が長い
安定はしますが、自由な時間を確保しにくく常勤医としての業務と育児の両立ができるかがポイントです。
フリーランス医 ①
定期非常勤とスポット勤務を組み合わせる
週3日の定期非常勤と他の定期非常勤やスポット勤務を組み合わせる方法です。
所属施設を持たない働き方になるので、フリーランスとなります。
社会保障・年金はない場合が多い
専門医資格更新条件を確認する必要あり
自由な時間を得やすい
社会保障・年金・専門医更新ができるか?などクリアしなければならない問題点がたくさんあるように見えますが、週3日で社会保障付き非常勤など働き方の選択肢もあります。
週3日で非常勤勤務採用してくれる勤務先としては大学病院や市中病院が選択肢になるでしょう。
フリーランス医②
フリーランス医を経て更新の前に常勤になる
週1-2回の定期非常勤やスポット勤務でフリーランスとして働き、専門医資格更新前までに常勤に転職するという方法もあります。
子育てが忙しい数年はフリーランスとして働き、子育てが落ち着いてら常勤に復帰し専門医資格更新する方法です。
この働き方は専門医更新時に何年分の勤務実態を提出するかは学会により異なる点は注意を要します。
- 眼科:直近1年分の勤務実態の報告
- 皮膚科:2.5年間の勤務実態の報告
- 麻酔科:5年分の勤務実態の報告
麻酔科の場合は週3日以上の勤務5年分の勤務実態の報告が必要ですので、フリーランス医②の働き方をすると専門医更新ができなくなりますので注意です。
眼科の場合は更新までの1年、皮膚科は更新までの2.5年前までに常勤に転職すれば、専門医更新することは制度上可能になるということです。
出産・育児等で更新できない場合に、筆記試験を受験し合格すると更新ができる制度もある
厚生労働省のホームページには、新専門医制度の更新について詳しく記載があります。
例2のように、妊娠・出産・育児で専門医更新が不可になった場合は2.臨床実績の証明に、「項目C 自己学習を促進するとともに適切な診療能力の有無の判定を目的とした筆記試験等を行なう場合」を追加することで更新が可能。
この試験方法は、各学会により異なるため該当する方は問い合わせをしましょう。
噂レベルの話ですが、e-lerning等でテストを受講する形式になるのでは?と言われています。
まとめ
働き方を考えて、育児と両立し専門医資格を更新しよう
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